■閣僚が7人も関わり
選挙支援を頼んだり会合に出席したりするなど、旧統一教会と政治家の付き合いが次々とあらわになっているなか、自民党との癒着ぶりは群を抜いている。10日に発足した第2次岸田改造内閣でも、閣僚7人と、副大臣、政務官計23人が教団と関わりがあったことが朝日新聞の取材で判明した。
加えて、国際勝共連合の改憲案と自民党の改憲案に共通点が多く見られる。例えば、同連合の2021年の運動方針は「憲法改正を実現。防衛力を強化し、我が国の安全保障体制を確立する」とある。また、「正しい結婚観・家族観を追求する」として夫婦別姓や同性婚に反対の立場だ。
編著に『徹底検証 日本の右傾化』がある上越教育大学大学院の塚田穂高准教授(宗教社会学)は、こう指摘する。
「旧統一教会は右傾化の先兵隊。『反左翼』の切り込み隊長の役割を担いながら、存在感を示そうとしてきた。自民党のなかでも、安倍派(清和会)への食い込みが著しい」
象徴的だったのは安保法制をめぐる議論が盛り上がりを見せた後の16年1月、勝共連合の大学生遊説隊「UNITE=ユナイト」(現・勝共UNITE)が結成されたことだという。東京・渋谷などで多い時は数百人規模のデモを展開し、「憲法改正、賛成!」と声を上げた。塚田准教授は、
「メンバーのほとんどは、いわゆる『宗教2世』。当時注目を集めていた学生団体SEALDs(シールズ)に対抗的な組織です。自民党政権にとって非常にありがたい存在で、同じ若者でも改憲・政権支持派もいるんだというアピールをすることができた」
■大きな構図の中の一つ
選挙だけでなく、政策の支持、デモ活動、署名集めでも──。旧統一教会はじわじわと自民党に食い込んでいった。ただ、カルト宗教を取り上げるニュースサイト「やや日刊カルト新聞」総裁の藤倉善郎氏は言う。
「単独で自民党の政策を左右するような存在ではない。日本会議や神道政治連盟なども含めた保守運動の大きな構図の中の一つにすぎないというのが、正確なところでしょう」