ある自民党の現職国会議員も、
「反共産主義から出発している旧統一教会と自民党は主義主張が一致する部分が多い。だから、あらゆるところで関係が続いてきた」
と認めつつも、こう話す。
「政策を決めるとき、内容によっては関係する業界団体や関係機関の意見を聞いたうえで決めなきゃいけないことがある。でも、旧統一教会が『意見を聞く対象』になった事例は聞いたことがない」
つまり、その程度の関係性なのだろう。塚田准教授も、
「旧統一教会に、自民党の政策立案のブレーンとなるような人物は思い当たらない」
と同様の認識を示す。
■徹底的に検証すべき
この現職国会議員は過去に一度だけ、教団関連団体にメッセージを送ったことがあるという。会合への誘いを断り続けた末、参加しない代わりにと考えた。
「認識が浅かったのは間違いないし、反省している。ただ、教団が私に面会するときに、断れない相手を立ててくるとつらい」
教団との最初の接点は、地元の県議が「会ってほしい人がいる」と連絡してきたことだったと明かす。その県議は、同議員が政治の世界に入って以降、ずっと応援してきてくれた。
「ちょっと支持基盤が緩い人で、ああ、そういうことかと思った。教団の人手がなくとも選挙で勝てるならば、必要ないからね」(同議員)
日本の旧統一教会の信者数は公称56万人(15年、宗教情報リサーチセンター)だ。創価学会の会員世帯数827万と比べて規模はとても小さい。旧統一教会を長年取材してきたジャーナリストの鈴木エイト氏は言う。
「政策立案に関与しているわけでもなく、信者数も少なく、大した団体ではない。にもかかわらず、全国各地あらゆるところで政治家と接点を持ち、根を張っている。これが、旧統一教会のおそろしさです」
政治家たちが「大した団体ではないから、少々付き合っても問題ない」と考えてきたツケが、いま噴出しているのだ。鈴木氏は、
「旧統一教会から金銭的な援助を受けているとすれば、それは(霊感商法などの)被害者のお金。各政治家と教団のこれまでの関係を徹底的に検証すべきです」
うやむやな幕引きは許されない。(編集部・古田真梨子)
※AERA 2022年8月29日号