男性が加入する「東京ユニオン」副執行委員長の関口達矢さんは、ユニオンには全国のアマゾンの配達ドライバーから同様の相談が寄せられているとしてこう話す。
「アマゾンからのAIアプリなどを通じた労働時間の管理や指揮命令の仕方も含め、明らかに労働基準法上の労働者に該当すると見ています」
いま、会社に雇われないフリーランスとして働く人が増えている。単発で業務委託などを結んで仕事を受ける、「ギグワーク」と呼ばれる仕事も広がる。働く側にとってはスキルや経験を生かし柔軟な働き方ができるなどメリットがあり、企業にとっても安価な労働力を確保するため個人事業主に委託するケースが目立つ。政府は、フリーランスで働く人数は約462万人(20年)と、日本の労働者人口の7%近くを占めると推計する。
だが、「フリー」とは名ばかりで、会社員に近い働き方をしている人は少なくない。内閣官房が20年に行った「フリーランス実態調査」では、フリーランスの3234人のうちの約37%が「業務の内容や遂行方法について具体的な指示を受けている」と答え、約10%が「具体的な仕事の依頼、業務従事の指示を断ることができない」と回答した。
そうしたことから、フリーランスをめぐるトラブルも後を絶たない。
第二東京弁護士会が厚生労働省から受託し20年11月に開設した「フリーランス・トラブル110番」には、毎月600件近い相談が全国から寄せられる。業種別では運送関連とウェブ制作を含むインターネット関係が最も多い。相談では「報酬未払い」が最も多いが、「辞めたくても辞めさせてくれない」「発注者が勝手に報酬を減額する」事例も少なくないという。相談を受ける山田康成弁護士は言う。
「配達ドライバーの方には、自分から望んだわけではなく、結果的にフリーランスという働き方を選ばざるを得なくなった方もおり、問題に直面する人が多くなっています」
配達ドライバーのトラブルで争点となるのが「労働者性」だ。どのような場合にフリーランスに労働者性が認められるのか。