
まずは人気のイラストエッセイを。「絵もかわいいし、大人が読んでもフィットする」と佐々木さんが選んだのが、『怠けてるのではなく、充電中です。』(ダンシングスネイル著/生田美保訳/CCCメディアハウス)。ダメな自分を肯定してくれるような一冊で、少女時代のテヨンがインスタのストーリーズで紹介した。たとえば、休みは家でゴロゴロしたいけど、もっと時間を有効に使わないと……と罪悪感を覚える人も多いと思うが、この本ではそんな家が大好きな人たちを“ウチ族”と称し、休みは好きなように休んでいいのだと言ってくれる。編集を担当した大渕薫子さんもこう話す。
「著者のダンシングスネイルさん自身もうつを患った経験があって、とても言葉が優しい。そんなに悩まなくても大丈夫だよと元気づけてくれる本です」
■BTSの絆象徴の紫帯
自己啓発書はBTSセラーから。19年2月、福岡でのツアーを終えて韓国の金浦空港に現れたBTSのVが本で顔を隠すようなしぐさをした。その本『世界の古典と賢者の知恵に学ぶ 言葉の力』(シン・ドヒョン、ユン・ナル著/米津篤八訳/かんき出版)がファンの間で話題になり、韓国でベストセラーになった。孔子や老子、マルクスやサルトルなど、東洋・西洋の賢人たちの言葉や古典から「話し方」を学び、どう生きていくかを考えさせられる一冊だ。

日本語版を出版する際に、かんき出版の渡部絵理さんは、ファンへのリスペクトも込めて、BTSとBTSのファン、「ARNY」との絆の象徴である紫を帯の色に選んだ。初版は11週間で売り切れたという。
「最初はファンの方が手に取ってくれたのですが、自己啓発書としてきちんと評価され、BTSファン以外の方にも多く読まれています」(渡部さん)
東方神起のチャンミンも、インスタで本を紹介しているが、そのうちの一冊が『世界でいちばん弱い妖怪』(キム・ドンシク著/吉川凪訳/小学館)。18編のショートショートがおさめられたSF短編集だ。担当編集者の柏原航輔さんはこう話す。

「クスッと笑いながら油断していると、心底ゾクッとする瞬間がある。ちょっとした表現にも皮肉がこめられていて、それは著者の経歴も大いに関係していると思います」