東京・神保町のチェッコリに並ぶアイドルセラーの本。人気のイラストエッセイをはじめ、BTSをひもとく書籍も出版されている。チェッコリでは、韓国語の原書も手に入る(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
東京・神保町のチェッコリに並ぶアイドルセラーの本。人気のイラストエッセイをはじめ、BTSをひもとく書籍も出版されている。チェッコリでは、韓国語の原書も手に入る(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
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 BTSのメンバーらK-POPアイドルが紹介した韓国本が売れている。韓国発“アイドルセラー”から、厳選した6冊を紹介する。AERA 2022年8月15-22日合併号より紹介する。

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「BTSって音楽業界だけでなく、私たち日本の書店も救ってくれているんですよ」

 そう話すのは東京・神保町にある韓国書籍の専門店「チェッコリ」の広報、佐々木静代さん。BTSのメンバーが動画などで紹介した韓国の本がファンの間で売れ、その日本語訳が出版されると、日本でも話題となり売れている。

 大きなきっかけは2018年。韓国の動画配信サービス「V LIVE」でBTSのJUNG KOOKの部屋が映った際、彼の足元にキム・スヒョン著の『私は私のままで生きることにした』が置いてあったことに気づいたファンがこぞって買い求めたことだ。日本語版が出版されると日本でも発売直後から売れ、販売元のワニブックスのホームページによれば、52万部を突破しているという。

 もともとBTSと本はなじみがいいのだと、K-POPや韓国文化に詳しいライターの桑畑優香さんは言う。

「16年に発売されたアルバム『WINGS』はヘルマン・ヘッセの『デミアン』にインスピレーションを受けたと言っています。この本を読んだら『血、汗、涙』などの曲の世界観が読み解けるんじゃないかとファンの間で話題になりました。また4枚目のフルアルバム『MAP OF THE SOUL:7』は『ユング 心の地図』というユング派の分析家の本がモチーフになっています」

■自分を肯定してくれる

 BTSのメンバーが言及したり紹介したりする本が売れることで「BTSセラー」という言葉も誕生した、と桑畑さんは言う。今では「アイドルセラー」とも言われ、BTSだけでなく、NCTやSEVENTEEN、EXOなど人気アイドルが紹介した本が話題となり、日本でも数多く翻訳されている。

 彼らはどんな本を読んでいるのだろう。佐々木さんに、韓国本初心者で、なおかつAERA世代が楽しめる「アイドルセラー」6冊を選んでもらった。

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