■少年のような遊び心

――まさかの回答に噴き出すと、イタズラっぽい笑顔を見せた。ユーモアと少年のような遊び心は、昨年開設し、自身で企画、テロップ入れ、経理までをこなすYouTubeチャンネル「ジャにのちゃんねる」でも遺憾なく発揮されている。センスのみならず、分析力も併せ持つ。

二宮:僕が仲いい人たちを集めて動画を撮る、というのがわかった時点で、それなりの反応が返ってくるだろうなというのは予想はしていました。だから最初は、なるべくバズらないように引っ張って引っ張って。それがバコッと跳ね上がる瞬間も全部収録しておいて、見てくださる方にも疑似体験してもらうのが一つの面白さだと思ったんです。さすがにここまで行くとは思ってなかったけど(現在、登録者数337万人)。ただ、たくさんの方に見ていただいているからといって、変にコンプライアンスを意識しすぎたり、テレビに寄った企画にすると、僕たちらしさが失われてしまう。僕、チャンネルの分析ページをよく見ているんですが、「あのジャニーズがYouTubeだと……」みたいなコントラストがいい、という反応がちゃんと出ているんですよ。やっぱりそうなんだな、と。それだけが正解ではないですが、一つの道しるべとして、コメント欄も含めてチェックしながらやっている感じですね。

■冒険心は「ないです」

――「冒険」がキーワードとなる作品だが、自身は「冒険」をどう捉えているのだろう。冒険心の有無を尋ねると、「ないです!」と即答した。

二宮:しっかり情報を集めて計算していくタイプなので、計算外の何が得られるかわからないところには行かないというだけの話です。だって、僕が変な冒険心を起こしてケガでもしたら、どれだけの人に迷惑がかかるか。大騒動になることを考えただけで、怖くなって冒険なんてできないです。第一、僕、もう39歳のおじさんですし(笑)。

 もちろん、計算してもその通りにいかないことはあります。僕らはどうしても数字がついてまわる仕事をしている。でも、作品のよし悪しと数字は必ずしも連動しないし、あまり気にしないですね。仮に負けたとしても、次に勝つにはこうしよう、という思考に切り替える。というか、勝手に切り替わっちゃうのが現状かもしれません。

――幸せを感じるのは、「仕事があること」それ自体だという。

二宮:年齢が上がってきたので、簡単に言えば「ブランディング」にも気を配ろうと思うようになりました。ありがたいことに、数年前から「自分主体でチョイスしてもいいよ」と言われているので、大変ではありますが、楽しくやらせてもらっています。この作品も、何年も前からお話をいただいて、本当はもっと前に撮るはずだった。でも、ちょうどその時期が、嵐の活動休止前と重なってしまって。2020年までは嵐に専念したいという僕の思いをお伝えしたら、「待っています」と言っていただけたんですね。それは今年のお正月特番ドラマ「潜水艦カッペリーニ号の冒険」も、連ドラ「マイファミリー」も、12月に公開される映画「ラーゲリより愛を込めて」も同じで。僕としては、こだわった作品が、今年こうやってキレイにハマって皆さんにお届けできることは奇跡のようで、すごい一年になっちゃったなぁと、素直に思います。仕事があるのは、当たり前のことではない。何度も言っているんですけど、本当にありがたいなあと思うんです。

(ライター・大道絵里子)

AERA 2022年8月15-22日合併号