「昔は住居か別荘用に中古住宅を購入する方が多かったと思うのですが、今は事業ベースで買う方が増えています。ゲストハウスや古民家カフェ、中には廃墟同然の空き家を子どもたちの秘密基地にしたり、廃墟スタジオとして活用したいという方もいました」

 居住目的ではなく、倉庫やレジャーの拠点として使うのであれば、多少屋根や外壁が壊れていたり、シャワーが使えなかったりしても問題ない。また、近年はDIYブームで、素人が古屋をリフォームするネット動画が人気を博しており、あえてボロボロの空き家を格安で購入する人も珍しくないという。

「タダでもいいからもらってほしいという空き家が、市場に出ないまま多く放置されている一方で、DIYや事業目的で空き家がほしいという需要も多くある。その需要と供給を適切にマッチングしてあげる仕組みがもっと必要だと感じます」

 同サイトでは、基本的にどんな物件でも掲載可能だ。売価を100円にするか100万円にするかは売り主が決められる。掲載料や仲介手数料はなく、サービスの利用は完全無料だ。また、同サイトでの売買は早い者勝ちではなく、掲載から30日間は問い合わせ期間を設けている。

「その間にきた問い合わせ内容は全て売り主さんにお渡しして、その中からじっくり選考ができる仕組みにしています。売買トラブルを回避する目的もありますが、売り主さんには、いちばん熱意のある人に納得して売ってもらいたいという思いもあるんです」

 現在、同社は長野県の中野市と連携協定を結び、市内の解体を迫られる物件を空き家ゲートウェイで紹介している。川口さんは「空き家の増加に悩む自治体は多い一方で、情報発信が不十分という問題もある。今後はそうした自治体とより連携を深め、空き家市場を盛り上げていきたい」と話す。

 どんな空き家にも、必ずニーズはある。諦めずに情報発信を続けることが大切だ。(ライター・澤田憲)

週刊朝日  2022年8月19・26日合併号

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