住宅を貸し出すのであれば、サブリース(不動産会社が貸主から住居を借り上げ、入居者に転貸するサービス)の利用を考えるのも手だ。民間会社だと倒産や家賃の不払いが心配という場合は、国土交通省が支援する「マイホーム借上げ制度」を利用するのもよい。貸主の対象年齢が50歳以上など、いくつかの条件を満たす必要があるが、一度入居者が決まればそれ以降は空室になっても規定の賃料が支払われるほか、「終身型」であれば契約者が亡くなった後も土地や建物を家族にそのまま相続できる(ただし契約者死亡時点で相続人が50歳未満の場合は、50歳になるまで家賃保証は停止される)。

 また、親の死後、相続した空き家の維持管理ができない、リフォーム費用が捻出できないという人に向けて、空家・空地管理センターではいくつかのサービスを展開している。

「当センターでは、老朽化による事故や不法侵入、放火といった犯罪を防ぐために、月に1回、月額100円で建物の外観を目視点検してメールで報告する『100円管理』サービスを行っています。建物の通気や通水、敷地内のごみ処理や庭木の確認なども含めた管理サービス(月1回4千円~)もあり、遠方にいて実家を管理できない方などにご利用いただいています」(伊藤さん)

 ほかにも同センターでは、定期借家契約により一定期間(5~10年程度)住宅を借り上げ、所有者の自己負担なしで内装のリフォームを行う「AKARI」という借り上げサービスを展開。賃料は固定資産税相当額になるため利益はほぼ得られないが、空き家売却までの維持管理やリフォームの手助けとなる。

「中古住宅市場では、自分で少し手直しすれば住めるぐらいの物件がいちばん売れやすい。売却決定までに空き家をしっかり管理して、少しでも資産価値を落とさないことが大切です」

 ただ、サブリースなどの利用は、あくまで「住居」としての条件やニーズを満たしていることが前提となる。交通の便が悪い過疎地にある物件や、老朽化が進んだ物件の場合は、取り壊すしかないのだろうか。

 実はそんなことはないという。

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