プライベートキャンプ用に売れた物件(提供:家いちば)
プライベートキャンプ用に売れた物件(提供:家いちば)

 藤木さんは、こうした流通の課題を解消するため、売り主と買い主が直接売買交渉できる空き家検索サイト「家いちば」を開設。買い主に対する物件説明や内見対応は売り主が自ら行う代わりに、仲介手数料を法定の半額近くまで抑え、低価格で販売できる仕組みを築いた。商談成立後の現地調査や契約書類作成、重要事項説明などは標準サービスに含まれるため、契約手続きの煩わしさやトラブルの可能性も低い。

 現在サイトには、全国47都道府県の空き家や空き地、農地、商業ビルのほか、一部海外の物件も掲載されており、1件あたり平均で30件前後の問い合わせがあるという。

「売れるポイントは、適切な価格設定をすることと、売り主が誠意をもって説明することですね。過疎地にある古い家でも、価格と状態が釣り合っていれば数十万円から100万円くらいで売れています。そのためには売り主が、細かい部分まできちんと家の状態を説明してあげることが大切です。直接交渉の最大の強みは、売り主が“生活者”ならではの視点から、物件の良い部分も悪い部分も率直に伝えられること。そこに安心感を覚えて購入を決める買い主さんも多いですよ」

■事業ベースで買う人が増加中

 近年は、買い主側のニーズも変化している。

 YADOKARI株式会社と株式会社あきやカンパニーは、19年から空き家マッチングサイト「空き家ゲートウェイ」の運営を開始。同サイトでは、所有者が手放したくても値段が付かない、売れない物件を「100均物件」と定義し、100円もしくは100万円で売り出している。

 YADOKARI株式会社プロデューサーの川口直人さんは、「特に20~30代の若者世代に向けて、“負動産”とも呼ばれる空き家をもっと気軽に、住まいの選択肢の一つとしてポジティブに捉えてもらえるように、“100均”というコンセプトを打ち出しました」と話す。

 同サイトには、月に4~7件の新規物件が掲載されているが、1件あたり20~40件、多いときには400件を超える問い合わせがあるそうだ。

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