そしてさらにそのあとには、「郷ひろみは本当は実業家になりたいらしい」という話も出て、もう私にはフォローしきれず、一気に「郷ひろみ大嫌い」という反動すら起きた。「私の好きだった郷ひろみを返せ」とまで思ったような気もする。

 私の思う郷ひろみの最悪の時期は、結婚したあとだ。ニューヨークに住んでたっけ。何やってたんだ。あのころ、たまにテレビで見ると顔がヘンだった。ダラーッとしてて、特に目の付近がむくんでいた(田原俊彦が現在この状態に陥っている)。普通このままポシャるのだが、郷ひろみはこのところめっきりもち直したのがすごい。顔つきも戻ったし。

 で、このような浮き沈み(本人は沈んだつもりはないかもしれないけど)を、どんなときでも「郷ひろみ」でやってきたというのが、いろんな意味でおもしろいと思うのだ。

 この日の番組は、スタジオにファンの女性(OLばっか)を入れていて、しまいには「哀愁のカサブランカ」と「会いたくてしかたない」を生で歌い、感激のあまり泣きだすOL続出ということになっていたが、現在の郷ひろみってそうゆう意味の存在なんだなあ、と思った。

 私も小学生のときの「全肯定」をずっと貫いてきていたら、「哀愁のカサブランカ」で泣けたのだろうか。歌う郷ひろみと泣くOLという画面を見て、ちょっと笑ってしまったが。何じゃこりゃ、って。

週刊朝日  2022年8月19・26日合併号

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