※写真はイメージ(gettyimages)
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 厚紙などにパスワードを記入して、修正テープで2、3回マスキングしておくだけ。重要書類と一緒に保管しておけば、もしもの時に家族が受け取ることができる。スマホにアクセスさえできれば、デジタル遺品の要所はつかめる。一番簡単でかつコストパフォーマンスの高い最低限の対策だという。

■デジタル断捨離の機会

「この夏、帰省時に家族がそろうなら、デジタル断捨離に取り組むいい機会です」(古田さん)

 例えば、町内会の役員をした時にエクセルで名簿を作った、という人もいるだろう。

「クラウド上で公開設定になったまま、個人情報が晒(さら)されていて問題になる事例もあります。デジタルデータは物体として見えない分、存在が忘れられがちです」

 長年使っているパソコンであればファイル点数も膨大になり、本人以外が見ても把握するのが難しいこともある。家族や孫の写真など残したい大切なものは、フォルダや外付けハードディスクにわかりやすくまとめておくといい。

 把握しづらいといえば、サブスクサービスもそうだ。子世代も契約した全サブスクサービスを把握しているかと聞かれると、自信がないのでは。解約したつもりで見落としがあることも多く、「支払い元がわかりにくいことも拍車をかけている」という。クレジットカードの引き落としが止まったとしても、サブスクサービスを契約している会社に個別に解約の連絡をしない限り、支払いが続くことがあるので要注意だ。

 SNSをどう運用したいかも確認しておくといい。Facebookやインスタグラムであれば、亡くなった人のアカウントを保護する「追悼アカウント」化の設定もできる。友人たちが墓参りのように故人を偲んで集うオンライン上の「場所」にもなるので、自分の死後の運用について意向があれば残しておけばいいだろう。

「どこにどんなデータがあるかわからない状況だと、残された側もかなりの手間をかけてすべてを確認せざるを得ない。でも、『必要なデータはここにあるから、それ以外は見ないでほしい』と伝えることもできる。その通りに対応してもらえるような人間関係を築くこともまた、デジタル終活の一つだと思います」

(編集部・高橋有紀)

AERA 2022年8月15-22日合併号

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