ドキドキしながら入っていくと、とても広くてきれいな店内。お姉さまたちが接客してくれる。すると、そこの一人のスタッフさんが僕の前に座り、言ったのです。「私、同郷よ」と。
僕は千葉県南房総市出身。お店は大阪の梅田。そのお店になんと同郷がいるなんて。なんて偶然。そして話していくと、そのスタッフは言ったのです「カリカのやしろって芸人知ってる?」と。僕が「高校の後輩ですし、一時期はうちの事務所の下にも住んでました」というと、なんと「私ね、彼とハトコなの」と。「えーーーーーーー!??」
たまたま入った店に同郷で後輩の親戚が働いてるーーーー?こんなことあるーーー?と驚きました。そこから話は弾み、とてもとても素敵なショーを見せていただき、話しているうちにドラマの大きなヒントをもらったりして。刺激的でいい一夜になりました。
あの時、30歳の僕に外に出ることの楽しさを教えてくれたやしろ君。彼のおかげで、外に出るようになり、まさか大阪のニューハーフさんがショーをするお店で彼のハトコに会うなんて。
僕はよく運を雨に例えます。運という雨が降っていたら、家の中にいただけではその雨に当たれない。外に出ている人にしかその雨の恵はないと。
2022年。好奇心という能力を武器に、たくさん外に出ていろんな縁を作りたい。
■鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。毎週金曜更新のバブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」と毎週水曜更新のラブホラー漫画「お化けと風鈴」の原作を担当し、自身のインスタグラムで公開中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)は発売中。「お化けと風鈴」はLINE漫画でも連載スタート。YOASOBI「ハルカ」の原作「月王子」を書籍化したイラスト小説「ハルカと月の王子様」が好評発売中。長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が発売中。作演出を手掛ける舞台「怖い絵」が2022年3月に東京・大阪にて上演。