コロナ禍も2年目に入った2021年、SNS上ではさまざまな“バズりレシピ”が誕生した。その魅力をプロが解説、失敗しないコツを伝授してもらった。AERA2022年1月3日-1月10日合併号から。
【写真】「ケンタッキーごはん」に「やけくそハンバーグ」…“バズりレシピ”の数々を写真で紹介
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「あ! おいしそう」
疲れているとき、SNSでまわってくる“バズったレシピ”は、気分と食欲をあげてくれる救世主だ。神奈川県在住の40代女性は、笑顔で語った。
「今年は『やけくそハンバーグ』に何度も助けられました」
やけくそハンバーグとは何か。
「パックの挽き肉をフライパンに投げ入れ、焼くだけの豪快な料理です」
手も包丁もまな板も汚れないので、片付けも楽ちん。赤ワインともよく合い、女性にとって最高の料理のひとつだという。
おいしそう。簡単そう。それはぜひやってみたい! コロナ禍も2年目、多くの人の夢と希望にこたえるべく、2021年もSNS上にはさまざまなバズりレシピが誕生した。
編集部が調べただけでも、「帰れ、鶏肉へ!」「やけくそハンバーグ」「ケンタッキーごはん」などなど、名前からして好奇心をくすぐられるものばかりだ。
■バズらせるのは難しい
企業向けにSNSの運用アドバイスなどを行う場創総合研究所代表の菊池一弘さんは、バズりレシピの共通点をこう分析する。
「おいしそう、あるいは荒々しいほど雑。イメージとギャップがあり、投稿主の熱量が高い料理ほど、バズる傾向があります。でも、そうわかってはいても、バズらせるのは本当に難しいんですよね」
つまり、バズったレシピはそれだけで奇跡だ。そんなバズりレシピから、プロの目から見ておいしさに大きな可能性を秘める7品を選りすぐり、科学する料理研究家のさわけんさんに作ってもらった。
まずは、書籍『亡命ロシア料理』に掲載されたレシピがバズった「帰れ、鶏肉へ!」。玉ねぎとひとかけのバター、鶏肉を加えて煮込むだけ、というシンプルさと、とろとろの玉ねぎとホロホロの鶏肉のインパクトが食欲をそそる一品だ。