写真はイメージ (c)GettyImages
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 アート・NFT作品の「共同保有」というサービスがある。アンディ・ウォーホルや草間彌生作品も共同で「保有」できるこのサービス、利用者からは「コーヒー代にも満たない金額で夢が買える」と評判だ。アートを巡る新しい潮流を紹介する連載「なぜ1億円のアート作品がポチられるのか」。今回は共同保有を紹介する。

【写真】1億円超の作品がシュレッダーで切り刻まれ…

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 都内に住む黒田将昭さん(47)は、ソフトウエア系企業に勤める会社員だ。小さな子どもが2人おり、日々散らかる部屋と格闘している。ごく一般的な生活を送っているが、なんとアンディ・ウォーホルの名画「ドナルドダック」などを保有しているという。

 アンディ・ウォーホルといえば、アメリカが生んだポップアート界の伝説。マリリン・モンローなどアメリカ社会のシンボルを描き、1億ドル超で取引された作品もある。そんなアンディ作品を、なぜ日本の会社員が?

「共同保有しているんです」

■分散投資の感覚でたくさんの作品を保有

 昨今、アート作品を2人以上で保有する「共同保有」という手法がある。インターネット上で作品を選び、共同オーナー権を購入する。その額、なんと1口100円から。黒田さんは現在、アンディ・ウォーホルの「ドナルドダック」に5,000円ほど投じている。

 利用するのは、アート・NFT作品の共同保有を支援するサービス「STRAYM(ストレイム)」。面白いのは、時勢によって作品の価値が変わることだ。先の「ドナルドダック」の評価額は黒田さんが共同オーナー権を得たときから約150%値上がりしており、いまオーナー権を売却すれば約50%の利益が出ることになる。

アート・NFT作品の共同保有を支援するプラットフォーム「STRAYM(ストレイム)」
アート・NFT作品の共同保有を支援するプラットフォーム「STRAYM(ストレイム)」


 100円から購入できる手軽さに、値上がりするかもしれないワクワク感。そのせいか、共同保有するのはアートファンだけではない。黒田さんはもともと個人投資家で、投資先のひとつとしてアート作品に興味をもった。一気に複数の作品にお金を投じたが、「好きな作品がたくさんあったから」だけではなく「分散投資した」感覚の方が強いという。現在30作品を共同保有している。

※NFT作品とは、改ざんできないデータでつくられたデジタル作品のこと。デジタル上で自分が保有していることを証明でき、売ったり買ったりできる。

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