
上田:虚実がないまぜになっているところがあって、監督の役をやった濱津(隆之)さんを本当の監督だと思ってる人が、けっこういるんですよ。映画を見終わったあと、濱津さんに「監督、おもしろかったです」みたいに言う人がいて(笑)。
林:「俳優さんにギャラを払えたのがいちばんうれしくて、みんなが人気者になったのもうれしい」とおっしゃってましたね。
上田:うれしいですね、それは。
林:どんぐりさん(竹原芳子)という方、すごいじゃないですか。私、「カメ止め」でどんぐりさんを見たときに、すごいインパクトだな、と思いました。あの方、今や引っ張りだこで、ドラマ「ルパンの娘」でもおばあちゃん役で出てましたよね。
上田:そうなんですよ。どんぐりさん、ほんとにパワフルな方で、50歳を過ぎてから俳優を始めたんです。裁判所の事務をやっていて、NSC(吉本総合芸能学院)という吉本のお笑いの養成所に入って、そこに何年かいて、それから俳優を志したそうで、映像演技はあれが初めてだったんです。
林:そういう人を見つけてくるところがすごいですよ。上田監督は昔から映画を撮ろうと決めてたんですか。
上田:中学校のころからハンディーカメラで映画を撮ってました。
林:スピルバーグみたいじゃないですか(笑)。
上田:放課後、友達と集まって、その場の思いつきで毎日撮っていたような感じです。撮るのが楽しいから撮ってただけで、映画監督になろうとは思ってなかったんですけど、高校に進学するときにはじめて、職業として映画監督を意識しました。
林:日芸(日大芸術学部)とか、日本映画学校(現・日本映画大学)とかに行こうとは思わなかったんですか。
上田:僕、お笑いがすごく好きだったので、将来は映画監督かお笑い芸人かで迷ったんですよ。高校のときは演劇をやっていて、近畿で2位ぐらいになったんです。それで大学からオファーをいただいて。
林:あ、演劇もオファーがあるんですね。スポーツだけじゃなくて。