「すべてタイトルを取れるなら取りたいですし、去年の自分の成績よりさらにいい成績を残すことは絶対条件だと思うので、はい。去年の自分よりしっかりいい成績を残せるように、頑張りたいなというふうに思います」

 青木宣親、塩見泰隆らと共にランニング、キャッチボール、ノック、ティー打撃などで3時間ほど汗を流し、報道陣の前で今シーズンに向けての抱負を力強く語ったのは、キャンプイン直後に22歳の誕生日を迎える村上である。

 これに対し、山田も今シーズンの目標に関して、代名詞のトリプルスリーのみならず「しっかり(打撃)全部門で1位になれるように、それぐらい上を目指して頑張りたいなと思います」と、こちらも打撃タイトルの独占に意欲を見せている。

 今を遡ること3年、一軍のレギュラーに定着したばかりの村上を自身と比較して、山田は「村上のほうが全然上です。今でも十分すぎるくらい打ってますけど、まだまだ絶対に成長するだろうし」と話したことがある。その際に「数年後には2人でホームラン王を争うのでは?」と振ると「僕がチームにいればね」といたずらっぽい笑みを浮かべたのを思い出す。

 それから2年が経ち、山田は7年の長期契約で残留。村上はその山田よりも1年早く、入団4年目で本塁打王とMVPに輝いた。それでも、高津監督が以前「あいつはすごい負けん気が強いので、ニコニコしながら『絶対こいつ(村上)に負けない』と思いながらやってるんじゃないかなと思います」と話していたように、チーム最高の年俸5億円(推定)を誇る山田には、そうやすやすと「ミスター・スワローズ」の座を明け渡すつもりはないはずだ。

 昨年のヤクルト打線は、3割バッターが皆無でチーム打率こそリーグ3位の.254だったものの、両リーグ最多の625得点(1試合平均4.4得点)を叩き出すなど、高い得点力を誇った。最大の原動力は、山田と村上の3・4番コンビ。その2人がさらに切磋琢磨して高いレベルで打撃タイトル争いを繰り広げるようなら、投手陣しだいとはいえ、ヤクルトの連覇はさらに現実味を帯びてきそうだ。(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。

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