一方、リーグ優勝を決めた後の記者会見で「テツさん(山田)がキャプテンになる時に『チーム全体で支えていこう』、『チーム全員が副キャプテンの気持ちでやっていこう』と全員で話し合ってやっていました。“キャプテン山田哲人”の後ろで、僕たちが必死に声を出してやってこれた結果だと思います」と話した村上も、兄貴分を支えるべく、常に大声で、全身でナインを鼓舞した。
もちろんヤクルトの日本一にしても、五輪の金メダルにしても、この2人の力だけで勝ち得たものではない。だが、山田と村上の働きなくしてはどちらも語ることができないのは、本人たちも重々承知していることだろう。そういう意味でも、2021年は2人にとってまさにこれ以上ない、夢のようなシーズンだったはずだ。
ただし、そんな“夢のようなシーズン”を過ごしてもなお、山田も村上もモチベーションは失っていない。イギリスのロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズの代表曲『(I Can’t Get No) Satisfaction』ではないが、決して“満足していない”のである。
「優勝できたんで、勝利に貢献できたんではないかなとは思いますけど、ファンの方からしたらたぶん物足りなさを感じてると思います。打率もそうですし、盗塁の数もそうですし、やっぱ(過去に3度達成した)トリプルスリーっていうのがイメージとしてあると思うので」(山田)
「欲を言えば打点(王)も取りたかったっていうのが本音ですけど、そんなにうまくいかないもんかなって思いました。個人的な目標(打率3割・30本塁打・100打点)も達成できませんでしたし、(2022年は)そこを目指して……まあ(本塁打は)30本じゃなく40本にして、頑張りたいなっていうふうに思います」(村上)
何といっても今シーズンは、球団史上でも2度目のリーグ2連覇、そして初の2年連続日本一という大きな目標がある。その実現に向け、山田は池山の現役時代から続くヤクルト伝統の愛媛・松山での自主トレで始動。村上も春季キャンプを2週間後に控えた1月18日に、神宮室内練習場で自主トレを公開した。