高橋大輔という名前を目にしたとき、ファンも一般世間もつい過大な期待をしたくなる。だが、彼はまだアイスダンサーに転向して、たった2年しかたっていないのだ。
結局、転倒の1点減点はあったものの、リフトでレベル4、他のエレメンツ(要素)ではすべてレベル3を得てリズムダンスは72・43点を獲得。アメリカのキャロライン・グリーン、マイケル・パーソンズ組に次いで、2位スタートになった。
翌21日のフリーは、昨年から継続しているバレエ組曲「ラ・バヤデール」からのメドレーだ。クラシックバレエの素養がある村元の体のラインの美しさ、踊ることに天賦の才を持つ高橋の身体の動きが際立つプログラムだ。トゥイズルの最中にちょっとバランスが後ろに行くなど、細かいミスはあったものの、最後まで大きく崩れることなく滑り切った。フリーは109・48点で、総合181.91点。リズムダンスでのミスがあったにもかかわらず、今季初戦のNHK杯よりもトータルで2・41点上がった。
「大きなミスはしていないんですけど、ちょっとしたところでタイミングが合わなかったり、ちょっとバラバラしたところもあったので、気持ち的に100%出せたかと言うと出せなかったところもあった。でも、全日本から四大陸まで時間もない中で、うまくまとめられたんじゃないかなと思います」
高橋は試合後、そんな感想をもらした。
「本当にまだ2シーズン目で、こんな世界と戦って2位というは、大ちゃんすごいなと改めて感じています」
村元はそう語った。
2人ともそう喜びを表現しながらも、演技の内容には満足していない。それは練習での成果を本番で出し切ったという実感がまだないからだ。
「表彰台にのれたのに自分たちの演技ができなかったのが悔しい。私が感じているのは、2人ともまだまだ上のレベルを狙っていきたいんだなというのをすごい感じています」(村元)
グリーン、パーソンズ組はコンテンポラリーの素晴らしいフリーをノーミスで滑り切り、総合200.59点でトップを保った。3位はリズムダンスからの順位をキープした、アメリカのクリスティナ・キャレイラ、アンソニー・ポノマレンコ組だった。