五輪メダリストの高橋がアイスダンサーに転向して一緒に競っているという不思議な状況をどう感じるかと聞くと、パーソンズは「彼(高橋)はレジェンド。それ以外の言葉が見つからない」。ポノマレンコは「僕は初めて記憶に残っている五輪は(高橋が銅メダルを手にした)2010年(バンクーバー五輪)の時のこと。その彼とこうして表彰台にのることができて、とても光栄に感じています」とうれしそうに話した。

 2週間後に北京五輪を控えているだけあり、今年の四大陸選手権には五輪代表の選手はほとんど出場しなかった。それでもこの大舞台でメダルを手にしたことは、大きな自信につながったのではないだろうか。そう聞くと、高橋はこう答えた。

「五輪を大きな目標にしていて、行くことはかなわなかったんですけど、四大陸選手権に選んでいただいた。ぼくたちがアイスダンスを組んでからコロナシーズンになってしまって試合もほとんどできていない中で、こうやって世界と戦う貴重な場面を与えていただいた。そこで試合でしかしないようなミスをしてしまったりとか、本当に経験すること、学ぶことをたくさんこの場で出来ているのはすごく大切なこと。うまくいかないこともありましたけれど、その中でこういう結果を残したことは自信につながる。あと世界選手権があるので、これを一つの自信にして世界選手権に向かいたいと思います」

 ファンにとって気になるのは、このシーズンの後の予定はどうするのかということだ。とりあえずは目の前にある世界選手権に集中する、と言った後に高橋はこう付け加えた。

「慎重にゆっくり落ち着いて考えて……。2人で作り上げるものなので、2人の気持ちがマッチして同じ方向を向いていかないといけない。いろんな今シーズンを通して色んな悔しい気持ちがどんどんできてきた中で、まだ違う景色を見てみたいという自分自身もいるし、ただその気持ちだけで向かっていけるわけではない。だから世界選手権が終わってからゆっくり考えたいと思いますけど、ただアイスダンサーとしてパフォーマンスするのは楽しくて、本当に素敵な時間だなと思っています」

 高橋は穏やかな表情でそう言葉を結んだ。

 次の2人の挑戦は、3月に南フランスのモンペリエで開催される世界選手権だ。

(ライター・田村明子)

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