アイスダンスのフリーで演技をする村元哉中、高橋大輔組(International Skating Union via Getty Images)
アイスダンスのフリーで演技をする村元哉中、高橋大輔組(International Skating Union via Getty Images)
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 エストニアのタリンで開催されたフィギュアスケートの四大陸選手権で、村元哉中、高橋大輔組が日本のアイスダンス界に新たな歴史を刻んだ。総合2位となり、日本のアイスダンサーとして過去最高の順位を手にしたのだった。村元は2018年大会で、当時のパートナーのクリス・リードと3位に入り、日本勢初のISU(国際スケート連盟)チャンピオンシップメダルを手にした。今回はそれを上回る快挙。だが、楽々と手に入れたメダルではなかった。

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 1月20日のリズムダンス「ソーラン節」は、予想外の出だしになってしまった。冒頭でタイミングが合わず、村元が転倒というミスが出たのだ。昨年12月の全日本選手権の時には滑っている最中にブレードが引っかかるというアクシデントだったが、ここでのミスはまったく違う種類のものだった。

 原因は一体何だったのか。そう聞くと高橋は、

「お互いのタイミング。ちょっとぼくが一瞬出遅れてしまった。お互い逆方向に行くところがあるので、哉中ちゃんの足が下がってしまって……」

 と説明した。村元は、

「あそこはスピードがないのでバランスとの勝負で、ちょっとしたタイミングで、ミスにつながる。改めてあそこは考えなくてはいけない」

 と続けた。

「今日は僕のミス。いまめちゃくちゃへこんでいています」

 と高橋がうつむくと、村元が横で「いやいや」と慰めるようにフォローする。たとえ思い通りの演技ができなかった時でもお互いを思いやる気持ちは、パートナーシップを続けていくのに不可欠な要素だ。その点、2人の相性はとても良いように見える。

 全日本選手権、今大会とミスが重なった理由をマリーナ・ズエワ・コーチは、このように説明した。

「アイスダンスというのは、何回演じても全く同じようにやらなくてはいけないんです。カナはもうだいぶ経験を積んできたけれど、ダイスケはまだまだこれから経験を積んでいく必要があります。これは簡単なことではない。時間が必要なんです」

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アイスダンスに転向してまだ2年