連日のように自粛を強い言葉で要請していた日本医師会の中川俊男会長は、政治資金パーティーに出席したほか、女性との寿司デートの様子をすっぱ抜かれた。
さらにはこんな人も。
「黒川弘務検事長が、緊急事態宣言中に新聞記者らと賭けマージャンをしていたのにはあきれました。戦後の食糧難の時代、山口良忠という裁判官は闇米を食べることを拒否して餓死したといいます。それに対して今の司法関係者の情けなさときたら」(西川さん)
政治の表舞台では、西村康稔新型コロナウイルス感染症対策担当相、河野太郎ワクチン接種推進担当相が前面に出てきて、手柄争いを演じた。
また持続化給付金を巡っては、実体なき一般社団法人が不透明な形で委託を受け、それを電通に再委託。そこから再々委託など下請けが進み、最終的には9次下請け、計約560社が携わったことが判明した。
「国民の命が危ないというときに手柄争いをする政治家、マージンを抜く業者がいるとは。これまであまり政治のニュースに興味のなかった人も巣ごもりで見るようになったので、政治家たちの動きに敏感になり、失望感が強まりました」(角谷さん)
国民に自粛が要請されるだけで、対策らしい対策はさっぱり打ち出されなかった。そればかりか、受診の目安を「37.5度以上の熱が4日間続く」としたり(後に加藤勝信厚労相が「誤解」と言い放つ)、自宅療養を強要したり。適切な治療を受けることもないままに失われた命は少なくない。
「国民には医療を受ける権利があります。医療を阻止するのは憲法違反」と話す上さんは、厚労省は歴史的に患者に寄り添わない政策を進めてきたと指弾する。
「厚労省はもともと戦前の内務省衛生局。明治時代にコレラが流行したときには労働力や兵力の確保を優先し、警察とともに患者を見つけ次第、隔離した歴史があります。そうした流れをくんでいるので、いまだに患者目線で進めるという発想がなく、霞が関の机の上で考えているんです」