22年シーズンより北海道日本ハムファイターズの監督に就任した新庄剛志さんがAERAに登場。使い込まれた野球グラブを衣装として纏い、監督・新庄剛志としての思いを語った。AERA 2022年1月31日号から。
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パッチワーク調のド派手な衣装で姿を見せると、スタッフから驚きの声が上がった。彼の呼称としてすっかり定着した「BIGBOSS」をイメージしてつくられたというコートには、約40個の使い込まれた野球のグラブが使われている。
新庄は17年の現役生活中、すべての試合をたった一つのグラブでプレーし続けた。道具を大切にするのは、植木職人だった父の教えだ。
「ある試合でダイビングキャッチしたとき、グラブがよじれた。グラブがもうダメだと言っている気がして、引退かなと。そのグラブは2011年に親父が死んだとき、棺に入れました。親父が好きだった野球を空の上でしてほしいなと思って」
この日の衣装に使われたのも、野球好きたちの「大切にしてきて、捨てられない」グラブだ。思いを汲んだかのような衣装に、本人の顔もほころぶ。
日米通算1524安打、ゴールデングラブ賞10回。記録も一流だが、それ以上にプレーとひとつひとつの言動が、見る者の記憶に深く刻まれる選手だった。
そのスターがプロ野球に帰ってきた。突然の現役復帰宣言とトライアウト挑戦を経て、去年10月、古巣・北海道日本ハムファイターズの監督に就任することが発表された。秋季キャンプでも、年末年始に出ずっぱりだったテレビでも早速話題を振りまいている。
「選手に何を伝えるか、どんなふうにファンを喜ばせるか、プロ野球をどうしたいか、毎日いろいろ考えて、頭がパンパンですよ。脳は日々の努力でパンプアップできると思う。新しい人生ができたから、いまめちゃくちゃおもしろいです」
2月1日からキャンプインする。その日に向け、「日本中を彩る、みんなが笑顔になる仕掛け」を考えている。久しぶりの、そして、監督・新庄剛志として初めての球春がいよいよやってくる。(編集部・川口穣)
※AERA 2022年1月31日号