同じく、硬貨を頻繁に取り扱う和歌山県の廃品回収業者もこう嘆く。

「家庭や小さな業者からものを買い取る際には硬貨がたくさん必要です。毎日、在庫の硬貨を残して、管理をするのにゆうちょ銀行のATMに入金して、重宝していました。手数料がかかるようになり、頭が痛いですね。都会ではないので、ゆうちょ銀行以外の金融機関がなかなか見つからない。毎日、硬貨が多くなりすぎて、大変ですよ」

◆地元でウインウインな新戦略

 その対応策として前出の住吉神社は2月13日から「コインチェンジ」という新しい試みをはじめるという。初詣などで寄せられた硬貨を地元の商店主などと組んで紙幣に両替するというものだ。

 1円玉から500円硬貨まで、すべてを取りそろえ、それぞれ、50枚に包装したものと紙幣を両替するという。手数料は無料だ。

 メガバンクなどで紙幣を硬貨に両替する場合、当該銀行に口座がある場合は、枚数制限はあるが10枚までは無料。それ以上の数量になると、有料となることが一般的だ。

 ゆうちょ銀行の場合、預け入や払い込みの際、硬貨を窓口に持ち込む場合、1~50枚は無料。51枚~100枚は550円、101枚~500枚は825枚、501~1000枚は1100円、1001枚以上は500枚毎に550円の加算となる。住吉神社の取り組みは硬貨の取り扱いに困惑する神社や寺院、商売で硬貨が必要な商店主、お互いがウインウインのアイデアだという。住吉神社担当者がこう説明する。

「この時期は普段と比べて、硬貨の在庫が非常に多いのです。商店主など、硬貨が必要な方と両替する。これをきっかけにして、ご参拝をいただければ、ありがたいということで企画しました。2月13日以降も在庫があれば日曜日ごとに実施しようと思っています。両替に手数料がかかるということで、お互いのメリットにつながればと思っております。硬貨の包装をする機械メーカーにご協力をいただけたことも、実現した大きなポイントです」

『商店主のみなさん、手数料に困っていませんか』と呼びかけるポスターを境内に掲示するという。住吉神社の取り組みが注目される。

(AERAdot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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