林:そうだったんですか。
森永:2003年に『年収300万円時代を生き抜く経済学』という本がヒットしてから仕事がメチャクチャ増えて、ピークのときは、テレビとラジオのレギュラーが同時に17本、連載が36誌。日刊の媒体もあったので、締め切りが毎日10本ぐらいあったんです。
林:わっ、わっ、わっ。
森永:なおかつ、大学があって、講演があって、途中から早朝のラジオにも出演するようになって、一年に一日も休まない生活が10年ぐらい続きました。だから家に帰っていられなくて、都内で寝泊まりする日々が続きました。
林:そんなに忙しくて、収入もいっぱいあったと思うんですけど、それを自分の趣味のために惜しみなくポンと使ったんでしょう?
森永:『年収300万円時代』が、続編を含めると40万部ぐらい売れたんです。そうしたら、似たような本がいっぱい出たんですよ。悔しいから、自分でも類似本をいっぱい出しました(笑)。連載の原稿が山のようにあったので、それを束ねて印刷するような感じで、ものすごいスピードでたくさん出版しました。それが、全部あわせると100万部を軽く超えるぐらい売れたんです。
林:すごい!
森永:その後もテレビ、ラジオ、講演などものすごく働いたので、そのお金で、自宅の近くにおもちゃやフィギュアのコレクションを展示する「B宝館」を建てました。中古のビルを、内装や棚、全部あわせて1億8千万円で買って。
林:お金をいっぱい稼ぐ人はいても、それを何に使ったかを言う人はあまりいないと思うんですが、森永さんのいいところは、それを全部おっしゃることですよね。
森永:アハハハ。
林:でも森永さん、「年収300万円」どころか、最近は「年収200万円でも大丈夫」とおっしゃってるんでしょう?
森永:厚生労働省は「年金は増えていく」という試算を出しているんですけど、そんなことはあり得ません。いまの日本の年金制度は、ある年に現役世代が払った保険料をためておくのではなく、その年のお年寄りで山分けする仕組みなんです。受給者である高齢者がどんどん増えて、現役世代は減っていくんだから、年金は減るに決まっています。