浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫氏はこう見る。
「大阪の死者数の数字は反省すべき数字です。死亡者を減らすには、重症化しそうな人を早く見つけて、早く治療するというのが重要です。大阪は吉村知事をはじめよく取り組んでいるように見えますが、リスクの高い患者を見守る体制ができていない。他方で、東京は宿泊療養施設などをつくり、早く発見し、早く治療する体制をつくった結果、低い死亡者の割合になっているのだと思います。小池知事が過労で倒れたりしましたが、健闘していると言えるでしょう」
また、大阪の吉村知事は検査を受けずに医師の診断で陽性を診断する「みなし陽性」を1日から導入した。矢野氏はこれについて理解を示しながらも、懸念を明かす。
「みなし陽性はインフルエンザの流行時期に咳や熱などの症状で診断していました。8割くらいは当たると言われています。若い人はみなし診断でも良いと思いますが、重症化リスクのある人には、確定診断をして、その次の治療に結びつける必要があり、みなし診断では次の治療につながらない恐れがある。リスクの高い患者をいかにケアするかがより問われています」
オミクロンの感染拡大が早かった沖縄県はどうか。昨年末から米軍基地内で感染者数が急増し、その後、県内各地でも感染が急拡大していったと見られている。感染や濃厚接触などで500人を超える医療従事者が出勤できない事態にも陥っていた。
数字を見ると、重症者の割合が534・2人と全国で最も多い数字になっているが、死者数の割合は0・7人とかなり低い。なぜか。県担当者はこう語る。
「沖縄県は基礎疾患のある人が多く、重症化する人が多くなるリスクが高いです。そのため、県では高齢者施設で感染者が出ても、すぐに感染症専門の医師や看護師を派遣できる体制や、リスクのある方を注意深く見守る体制を整えてきました。それが重症者の割合が高い一方で、死亡者の少なさにつながっていると見ています」