久本雅美さん(左)と林真理子さん [撮影/小黒冴夏、ヘアメイク/梅原麻衣子、スタイリング/前田みのる]
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 笑顔とトークが弾ける久本雅美さん。作家・林真理子さんとは、控える舞台のこと、劇団に入ったきっかけ、そして老後についてなど、大盛り上がり。最後にお二人、「楽しみ」な約束をして……。

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林:久本さんは、たまたま佐藤B作さんの「東京ヴォードヴィルショー」の舞台を見て、お笑いの世界に飛び込んだんですよね。俳優座とか文学座とか劇団四季とか、いろんな道があったのに「東京ヴォードヴィルショー」に入ったって、すごいセンスですよね。

久本:それがね真理子さん、私、演劇にいっさい興味なかったんですよ。たまたま友達に「新劇の舞台をやりたい。東京に舞台を見に行くからついてきて」って言われて、一緒に東京に遊びに来て、「いま『東京ヴォードヴィルショー』ってすごい人気だよ」って言われて、見たら私がハマっちゃったわけ。私、劇団に入ってから、ほかにこんなに劇団があるんだってわかって、慌てて見たんですよ。

林:そうなんですか。

久本:それこそ紅、黒のテントから「東京乾電池」「第七病棟」「天井桟敷」とか、とにかく勉強のために、アングラから何から、片っ端から見たんです。もちろん、「民藝」「文学座」「青年座」とかもね。でも、いまは青年座とかそういうお芝居も大好きなんですけど、あのとき最初にそういうお芝居を見てたら、自分が入ろうとは一ミリも思わなかったと思います。あの世界の役者さんに対する尊敬はあっても。

林:久本さんの心をとらえなかったんだ。

久本:「東京ヴォードヴィルショー」は、笑いがあって、走り回ってエネルギッシュで、笑いで人を感動させてることに驚いたし、そこにひかれるものがあったと思うんです。運命っていうんですかね。自分が行かなきゃいけないところにめぐりあったというか。よく言うじゃないですか、「偶然じゃなくて必然だ」って。

林:柴田理恵さんとの出会いも。

久本:そう。彼女は富山から東京に出てきて、明治大学の劇研(演劇研究部)に入って、そして「東京ヴォードヴィルショー」に私より先に入っていたという、これまた運ですからね。不思議なものに引っ張られてるところがあると思うんです。

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