AERA 2022年2月14日号より
AERA 2022年2月14日号より

「シェアハウスの複数の住人が陽性になりました。私を含めた他の住人はトイレやシャワーを共有していたものの、濃厚接触者にはなりませんでした。出社してもいいのか迷って、在宅勤務にしました。外出を控えて体調が悪くなった」(島根県、会社員、女性、33)

「毎日、不特定多数の人と接触している。後になって、実は接触した中に『濃厚接触者と接触していた』『発熱した』という人がいたことがわかった。仕事上、在宅ワークにできないが、自分が濃厚接触者にあたるのではないか上司に相談した」(福岡県、非常勤職員、女性、58)

「職場の別の支店で感染者が出たそうですが、そこで一緒に仕事をしていた方は『風通しのよい場所で仕事をしていた』と主張して、濃厚接触者に当たらなかった。その人は変わらず、うちの支店に出入りしています。濃厚接触者にならなくていいのか、モヤモヤしました」(徳島県、保険関係、女性、27)

 これらの声にあるように、そもそも濃厚接触者の判断からしてあいまいだ。その結果、濃厚接触者ではなくても感染の不安が募り、念のためにどこまで自粛すればいいのかわからないという“無限ループ”に陥る。

 首都圏の保健所に勤める40代の保健師は言う。

「濃厚接触者かどうかは、その時に対応する保健師の判断です。電話で『濃厚接触者の接触者なのですが』とご相談もいただきます」

 ナビタスクリニック(東京都)の久住英二医師も濃厚接触者の定義のあいまいさに疑問を感じるという。

「家族はずっと一緒にいるから、濃厚接触者になり、実際にほとんどの場合、感染します。会社でたまにランチを食べる人が感染者になった場合も、マスクを着けていないからおそらく濃厚接触者と判断されます。でも、家族に比べて、感染の可能性は低いです。それが、濃厚接触者『未満』の感染の可能性となると、雲をつかむような話になる。そもそも感染が拡大しはじめた頃の定義なので、オミクロン株の実態に合っていません」

(編集部・井上有紀子)

AERA 2022年2月14日号より抜粋

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