古賀茂明氏
古賀茂明氏
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 週刊朝日が創刊100年を迎える。今から100年前の1922年(大正11年)2月25日の創刊号の見出しを見ると、その直前に終了したワシントン軍縮会議の記事が目立っていた。時代の雰囲気が伝わってくるが、私が関心を持ったのは、『我人口と食料の調節』という見出しだ。

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「調節」という言葉が示すとおり、当時は出生率がピークに達した時期で、人口が増大する中、食糧需給がひっ迫するという状況にどう対処するのかが議論されていたようだ。「産児制限」という言葉もあったし、海外への「移民奨励」も行われた時代。「平和の維持」とともに国家が果たすべきもっとも重要な役割である「国民を食べさせること」が大きな課題だったのである。

 それから100年。今日の日本は、正反対の状況にある。少子高齢化が深刻化し、社会保障の基盤が完全に失われた。「産児制限」どころかどうやったら「子供を産み育ててもらえるか」が最大の課題となっている。

 しかも、国内産業の競争力は日に日に衰え、明日の展望が見えない。資源や食料価格の高騰によるインフレで国民生活は困窮の度合いを高めているが、世界の先進国が、金融引き締めでインフレ抑止に舵を切る中で、日本だけは、「引き締め」の言葉がタブーとなっている。

 日銀がそれに少しでも言及すれば、いや、言及せずとも、引き締めを考えているのではという憶測を呼ぶだけで株価は暴落する。最後はバブルが破裂することは自明で、その時期が遅れれば遅れるほど、被害が甚大になることもわかっているが、誰もまともな金融政策に移行する勇気はない。

 政府も国債に頼って、バラマキによる経済へのカンフル注射を続けない限り、すぐに不況になってしまうとわかっている。そこには、将来に向けた合理的な打開策は見当たらず、行きつくところまで行くしかない状況だ。

 一方、低賃金と物価高で苦しむ日本の労働者だが、世界では、まじめでよく働くことで知られている。米国でベンチャーを経営する日本人経営者は、「工場労働者としての日本人の生産性は、外国人の3倍だ」と言う。

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先進国の中で日本だけが賃金が上がらない結果…