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 祝辞、思い出、反省、苦言、提言──。創刊100周年を迎えた週刊朝日にゆかりのある、時代を築いた人たちに、“その時代”と“これから”を思う存分に語ってもらいました。今回は神足裕司さんです。◆「恨ミシュラン」(1992年9月~94年11月)

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 まだまだバブルの匂いがぷんぷんする頃だった。もう30年も前のことになるなんて我ながら驚く。つい最近だってエレベーターの中で急に話しかけられ「週刊朝日読んでいたんですよ、その頃からのファンなんです」なんて言ってくれるご婦人に出会った。「スパッと本音で書かれていて気持ちよかったわよ」。ありがたいお言葉だ。

 その頃連載していたのは「恨ミシュラン」。サブタイトルは「二度と行かないあの店、あの場所」。

 本家ミシュランガイド同様身分も隠して(誰もわからんのだけど)突撃でレストランなんかに行って飲み食いする。「有名店だけどおいしくないよね」とか「ハリボテの店内がものがなしい」とか好き勝手なことを漫画家の西原理恵子と二人で書いた。「うまくて驚いた」なんてのも、もちろんたまにはあったけれど。

 そう、真実を書いた。担当と一緒に3人で店に行って飲み食いして、もう一回店内を見回してみる。西原とボクはそれぞれが自分が思ったことを書いたので、同じ店でも意見が違ったりもしたが、取材に行った先で「高い金を出して大してうまくない店」で意見が合ったときは二人ともニヤリと笑みを浮かべたものだった。徹底的に書けるな。

 思えば、編集長は太っ腹な方だった。回を重ねて連載が続くと苦情もかなりあった。店に入ると面が割れて断られることもあった。大変な野生児を2人も放り出したままにしてくれていた。やりたい放題、言いたい放題。だけど何回も言うが西原、ボクの舌が言うところの、経験するところの紛れもない真実を書いた。大げさでも作り物でもない。

 担当編集者も3人代わったが大変な思いをしていたに違いない。付き合いきれないと思っていたかもしれないな。

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