関東み組主催のチャリティイベントでファンに囲まれご満悦(関東み組 来栖靖裕さん提供)
関東み組主催のチャリティイベントでファンに囲まれご満悦(関東み組 来栖靖裕さん提供)

 その後、多忙を極めた千とせ師匠は体調を崩して、そのあげく対人恐怖症に。仕事は急減し、「元祖一発屋」と自嘲するほど出番がなくなった。

「心配してくれたんでしょうね。僕がカニ好きなのを知ってるたけしが、自宅に立派なタラバガニを贈ってくれたり、きよしが仕事を回してくれたりすることもありました」

 テレビ出演こそ減ったが、木馬亭で月一回の歌謡ショーをプロデュースし、演芸場やホールでの漫談、イベント司会の他、インターネット放送、YouTube、さらには若手育成にも力を入れていた。

 11年からは前出の宮崎さんが終身名誉会長を務めるデコトラ愛好団体「関東み組」が毎年開催するチャリティーイベントの司会を任せられていた。

「うれしいよね。僕が『トラック野郎』に出たのは40年以上前ですよ。でも『トラック野郎』ファンは、昨日のことのように覚えててくれてサインをねだられる。タレント冥利に尽きますね」

 その一方、72年に芸人や歌手仲間と立ち上げたボランティア団体「全国さつまいもの会」では会長として活動を支えた。

「恒例のチャリティ歌謡ショーは、新型コロナで休演するまで足立区内で毎年開催していました。今年は4月15日に足立区の竹の塚地域学習センターで予定しており、急きょ、師匠の追悼を兼ねたイベントになる予定です」(マネジャーだった「夢企画」角川清子代表)

 またこの1月26日、歌手・恵中瞳とのユニット「千とせ&ひとみん」で新曲「CH列車で行こう!/キャンユーアンダースタンド?」をリリースしたばかり。

「もちろん配信もするけど、CDが売れない、って皆が言うからあえて発売するの。僕がデビューした頃だって、駆け出しの歌手は手売りで頑張ったものですよ」

 こんな会話をしたのは1月20日。毎朝ボイストレーニングを欠かさないだけに、年齢を感じさせない張りのある明るい声だった。

「1月28日に風邪をひき、その際、心筋梗塞を起こして救急搬送されました。その時はことなきを得たのですが、バイパス手術のため検査入院していたところ17日の未明、急変したのです」(前出の角川代表)

 なお、葬儀は19日、親近者だけで執り行われた。

 ご冥福を心からお祈りいたします。(高鍬真之)

※週刊朝日オンライン限定記事

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