様々なドラマが生まれた北京五輪。20日の閉会式で話題になったのは国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の挨拶だった。
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約9分間の挨拶で、「五輪精神がこれほどまでに輝いたのは、中国の皆様が文句なしの舞台を安全な形で整えてくださったからです。選手村は素晴らしく会場は壮大でした。運営はこれ以上ないものでした」とホスト国の中国を称賛。「この忘れがたい体験が可能だったのは中国の人々のおかげです。現在は3億を超える人々がウインタースポーツを楽しむようになり、レガシーは確固たるものになる。真に格別な冬季五輪大会を成し遂げた中国をウインタースポーツの国として歓迎します」などと絶賛の言葉が並んだ。
「メディアにはバッハ会長の挨拶が9分間の長さだったことが取り上げられていましたが、それより各国のメディアで話題になったのが『中国にべったり』の姿勢です。中国は人権侵害など国際問題で他国から厳しい視線にさらされている。その中でバッハ会長の一連の発言は空気が読めなさすぎる。IOCに対する風当たりが強いという危機感が感じられません。昨夏の東京五輪の時もそうでしたが、バッハ会長の言動や行動で五輪のブランド価値が失墜している。今後の五輪誘致を目指す都市も市民の理解が得られるかという重要な点で頭を抱えている。このままでは五輪開催が支持されないでしょう」(スポーツ紙記者)
アスリートからもIOCに対して不信感を持つ発言が出ている。今回の北京五輪スピードスケート男子の5000メートル、1万メートルで金メダルを獲得したスウェーデンのニルス・ファンデルプールは帰国した際に地元メディアの取材に対し、人権侵害が問題視されている中国で五輪開催を決めたIOCに対し、「極めて無責任だ」と非難したという。
「過去の五輪で選手からこのような発言が聞かれなかっただけに、大きなインパクトがありました。2種目で金メダリストに輝いたニルス・ファンデルプールが公然とIOCを批判したことで、組織の改革を求める声も高まるでしょう」(前出のスポーツ紙記者)