前述のAさんによると、“中抜き”は現場でもあるという。
「1食900円とはとても思えない。私は飲食店を経営していますが、その経験から食事代は朝食100~200円、昼、夕食500円前後という印象です」
Aさんの協力を得て調査すると、療養していたXホテルに食事を納入している業者は、大阪市内のケータリング会社、Z社であることがわかった。
Z社に取材したところ、「パンやカツカレーを提供したのは事実です」と認めた。
Z社に1食900円相当の食事なのか、と質問すると、「えっ、1食900円ですか。はじめて知りました」と驚いた声で答えた。
さらに経緯を以下のように説明した。
「うちは新型コロナウイルス感染拡大、第4波があった昨年5月からXホテルより下請け発注を頂いております。メニューは毎週、ホテル側から指示があり、朝昼夕と3食を配送しています。ホテル内には入らず、食事の入った箱を軒下に置かせていただき、帰るという方法ですから、中の様子はわかりません。カツカレーなどのメニューでクレームがあったことは知らされていません。第4波から下請けの仕事をただき、今も続いているので、好評かと思っていました。大阪府から1食900円が支給という話ですが、繰り返しますがうちは下請けです。契約した細かな金額は言えないですが…」
この担当者によると、Xホテルから実際は1食あたり900円よりも低い金額で発注されているという。Xホテルに「中抜き」の有無や食事への苦情について取材を申し込むと、こう回答した。
「大阪府より当社が受託している食事代の合計額は確かに 2700 円です。そこから療養者の方々への弁当配布などでかかる必要経費を差引いた上で、業者へ発注をしています。過去、ご滞在の方より直接、苦情を受けたことはございません」
1食900円から「必要経費」をホテルが引いてから業者へ発注していると、「中抜き」があることを認めた。
大阪府危機管理室災害対策課に見解を聞いた。