子宮頸がんの手術後、再発、再々発を経験した女優の古村比呂さん。 がんと「闘った」再発を越え、再々発時には考えが変わったそうです。 術後10年が経った今、がんとの「共存」をめざした日々を振り返りました。現在発売中の週刊朝日ムック『手術数でわかる いい病院2022』から紹介します。
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このインタビューの数日前、1年ぶりのCT(コンピューター断層撮影)検査の結果がでました。ドキドキでしたが再発はなし。主治医の先生は「奇跡的です」と言ってくれました。「ん? 奇跡ってどういう意味?」と思わなくもないけれど、「奇跡」は重くてありがたい言葉。奇跡をかみしめながら、いまを生きています。
最初に子宮頸がんが見つかったのは約10年前、2011年12月のことでした。不正出血も痛みもなく、たまたま受けた健診で見つかったのでまさに「ガーン!」。幸い早期発見だったので、子宮頸部をレーザーで切除する手術を受け、術後の病理検査で問題がなければ治療はこれで終了と言われました。
ところが検査結果を聞きに行くと、先生が「おひとりですか?」って。「え? ひとりじゃダメですか?」と真っ青になりました。そう、思っていた以上に深刻で、病期は1BI期。子宮を全摘することになりました。それでもリンパ節などへの転移はなく、5年間の経過観察で転移や再発がなければ安心と言われました。
■経過観察が終わるはずの日「再発が見つかりました」
そして5年がたち、私は「古村さんお疲れ様。これでひと安心ですね」という先生の言葉を期待して5年目の検査結果を聞きに行きました。先生が言った言葉は「腫瘍マーカーの数値が上がっています。再発の可能性がありますのですぐ検査しましょう」でした。骨盤内に4カ所の再発が見つかったのです。
信じられませんでした。5年間ずっと食べ物にも生活にも注意したし、検査も受けてきた。それなのに再発? 衝撃が大きすぎて記憶がないほどです。
抗がん剤を投与しながら放射線治療をおこなう「化学放射線療法」による治療が始まりました。週1回抗がん剤を打ち、並行して合計28回の放射線治療をほぼ毎日受けるというもの。治療期間は1カ月半ほどで、通院で治療を続けました。