回顧録はエリザベス女王(96)以外、全て批判の対象となると言われる。特に両親の不和の理由だ。結婚生活はどういったもので、なぜ別居、離婚に至り、母は36歳で死を迎えたのか。カミラ夫人(75)を容赦なく追及するとされる。
女王は先日、カミラ夫人を「クイーン・コンソート(王妃)」にすると発表した。多くの場合、略して「クイーン」と呼ばれ、国王と国政を担うことさえ可能な王室女性の最高ポジションだ。夫人には王族らからお祝いのメッセージが多く届けられたが、ヘンリー王子夫妻からは梨のつぶてだった。不穏な空気を察した皇太子は、回顧録との関連を気にする。王室側は、すでに弁護士を用意したと言われている。
回顧録のタイトルはまだ明かされていないが、表紙には王子とメーガンさんが入るのはほぼ間違いない。王子は軍での生活とメーガンさんを”人生の救世主”とし、「僕たちはチーム」「メーガンはソウルメイトだ」と2人の絆を強調する。
そのメーガンさんは昨年3月、有名司会者オプラ・ウィンフリーさんのインタビューで王室に人種差別があるとほのめかし、「王室が守ってくれないので自死が頭をよぎった」などと訴えた。
今回の本では、それ以上に迫力がある”爆弾投下”が求められる。ウィリアム王子(40)との確執など家族への負の感情をぶちまけ、衝撃的な事実を明かし、英王室を根底から揺さぶるだろうとの声もある。ただ王室側は、賢明なモーリンガー氏なら、思慮深い成熟した王子としての冷静なトーンに改めるとの希望も捨てていない。
ここにきて問題になっているのが発売時期だ。
王子側は、原稿は完成して法的手続きも終わり、すでに手元から離れたとする。当初はこの夏から秋にかけて発売すると言われていたが、11月の感謝祭か12月のクリスマス商戦へと遅れが出始めた。強力なライバル本が出現し、宙に浮いた形になっているのだ。
ペンギン・ランダムハウスは11月15日にミッシェル・オバマ氏(58)の2冊目の回想録『THE LIGHT WE CARRY』を出版すると発表した。彼女は18年に『BECOMING(邦題はマイ・ストーリー)』を出版し、全世界で1700万部を売り上げる大ベストセラーになった。その続編にあたり、米国でだけで初版275万部という強気の設定で、世界14カ国語での訳書が同時出版されるというスケールだ。
『BECOMING』は、史上初のアフリカ系米国人のファーストレディーとなった彼女が、人生を明るく率直につづった自叙伝。世界中の人々を励ました彼女の存在を前に、「ヘンリー王子がオバマ夫人にかなうわけがない」。そう版元が判断したのは無理もない。
(ジャーナリスト・多賀幹子)
※週刊朝日オリジナル記事