蜷川さんのスタジオにいた時点で、舞台に立つことはほとんどなかった。

「蜷川さんから離れて数年後に、突然蜷川さんに呼ばれたんです。蜷川さんにとって僕は、ハイブリッドの俳優だったんだと思います。新劇とアングラのハイブリッドが蜷川さんで、そこに僕の場合はさらに小劇場のDNAが混じった。その小劇場のメソッドを僕にたたき込んでくれたのが鴻上さんであり、木野花さんであり、(鈴木)裕美さんであり、鈴木勝秀さんでした」

(菊地陽子、構成/長沢明)

勝村政信(かつむら・まさのぶ)/1963年生まれ。埼玉県出身。俳優として蜷川幸雄に師事。87年、劇団「第三舞台」の舞台「朝日のような夕日をつれて」で俳優デビュー。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」をきっかけにバラエティー番組にも出演。「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズのスピンオフドラマ「ドクターY~外科医・加地秀樹~」でも人気。サッカー番組「FOOT×BRAIN」の司会も務める。

週刊朝日  2022年3月11日号より抜粋

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