
この侵攻はアメリカや中国と並ぶ大国を目指すロシアにとっては、賢い選択だったとは言えないでしょう。世界の焦点がアジアに移っていくなかで、ロシアは日本との間に北方領土の問題を抱えています。岸田文雄政権の対ロシア外交は、領土問題の交渉はしつつ、エネルギー分野などで戦略的に協力していくという方針でした。中国とロシアが急速に接近したことで、それも落ち着かなくなってしまう。他のアジア諸国との関係でも同じことがいえ、結局、ロシアは中国への依存度を深めることになる。ロシアは自らの選択肢を狭めたように思います。
(構成/編集部・福井しほ)
※AERA 2022年3月14日号