ロシアのプーチン大統領(写真:gettyimages)
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 ロシアによるウクライナ侵攻。今も現地で両軍が戦闘を繰り広げている。「戦争」は、矛盾を抱えながらかろうじて維持されてきた世界秩序の「軋み」をあらわにした。 AERA 2022年3月14日号で、「チェルノブイリ」について、笹川平和財団主任研究員の畔蒜泰助(あびるたいすけ)さんに聞いた。

【時系列にわかる「ウクライナを巡る動き」】

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 ウクライナ政府は、ベラルーシとの国境にあるチェルノブイリ原子力発電所をロシア軍が占拠したと2月24日に発表。ゼレンスキー大統領は「1986年の悲劇が繰り返されないよう命をかけて守っている」とツイートしました。

 チェルノブイリの占拠の理由は、主に二つ考えられます。一つは、ウクライナ侵攻を進めるなかで、事故が起きてしまうと危険なので予(あらかじ)めコントロール下に置きたかった。もう一つは、軍事攻撃をするのは仕方がなかったと理由付けをするためです。

 プーチン大統領は、ウクライナが核武装をするのではないかとの疑念を抱いています。3月1日には、ロシアのラブロフ外相がジュネーブ軍縮会議で「ウクライナは旧ソ連時代の核技術や核兵器の運搬手段を持っている」と訴えました。こうしたロシア側の発言を見ていると、侵攻を正当化するために、「核の脅威」を持ち出してきたのではないかとも考えられます。

AERA 2022年3月14日号より

 ただし、ウクライナが核保有を表明したことはありません。実際に持っているとも考えづらい。

 チェルノブイリで原発事故が起きたのは、ソビエト社会主義共和国連邦(旧ソ連)の時代でした。近年のチェルノブイリは、観光客向けのツアーが人気になるなど、比較的開けていました。ウクライナ国内ではほかに15基の原子炉が稼働しています。また、チェルノブイリ原発事故が旧ソ連が大きく揺らぐ一つのきっかけになったことは事実ですが、今のロシアにとって軍事的にも経済的にも大きな意味を持つ場所とは思えません。

 いずれにせよ、今回の軍事侵攻によってロシアが一時的に苦戦したとしても、最終的にウクライナを占領すると予測しています。

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