今回の調査により、運動部に所蔵する男女は、性別問わず「貧血」が重要な問題であること、そして貧血の原因は「鉄欠乏」だけでなく、「過度な運動」も考えられることが分かりました。鉄の補充に加えて、トレーニング量にも注意しなければならないということになります。今回の調査は一般の中高生や大学生を対象としており、今後さらなる調整が必要ではありますが、広く運動をしている人にも当てはまる可能性があると、私は考えています。
過度な運動は血管内溶血を引き起こし、結果として貧血をもたらします。五輪にも出場経験のある競輪選手は、このことをよくご存知で、過度な運動になってしまわないよう、定期的な採血をおこなってモニタリングしながら、練習量を調整していたとおっしゃっていました。
定期的な採血はなかなか難しいですが、定期的に運動している人は、鉄の補充とともに、過度な運動とならないような調整が大切だと言えるでしょう。指導する立場の方にも、過度なトレーニングとなっていないか、今一度、確認していただきたいと思います。
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員