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プーチンは「ウクライナなんてまともな国家ではない」などと発言し始めた2008年ごろから14年のクリミア半島併合、そして昨年の論文発表と、「アマチュア歴史家的」な性格を強めてきています。ドネツク、ルガンスク人民共和国の独立承認の際の演説でも、「歴史」を長々と語り、ソ連建国の際にウクライナを連邦構成共和国として認めたレーニンの不当性を訴えました。彼がこだわるのはロシアが「大国」であること。「ウクライナはロシアの一部なのだから」という一面的な歴史観にとらわれ、「ウクライナとどう関係を築くのがロシアの国益か」もろくに考えず、ウクライナという民族、国家の存在の正当性を否定してかかっている。そこが最も大きな問題です。
(構成/編集部・小長光哲郎)
※AERA 2022年3月14日号
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