![放送作家の鈴木おさむさん](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/3/5/628mw/img_352deb29fd647d60282b97387c65c81037141.jpg)
放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、『怖い絵』について。
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中野京子さん著『怖い絵』という大ヒットしている本。世界中のあらゆる絵画の中から実は怖いメッセージが隠れている絵を解説しているんですね。
有名なところで行くと、ポール・ドラローシュの「レディ・ジェーン・グレイの処刑」。
純白のドレスに身を包み、目隠しをされた女性が、木の台の前にひざまずいている絵画。
美しくもなんだか不気味な感じがするのだが、この絵は、イングランドの女王、レディ・ジェーン・グレイが16歳の若さで斬首刑をされる直前の絵なんですね。
よく見ると、男性が手を添えて断頭台へと導こうとしてたり、侍女たちは柱にすがって泣き崩れたり、気を失ったりしている。
それを知ると、この真っ白なドレスは血で赤く染まるのかなと怖い想像が膨らんでいく。
そんな絵画を怖い側面から解説していくこの本はかなりヒットし、2017年に行われた美術展「怖い絵展」も大ヒットした。そこではこの「レディ・ジェーン・グレイの処刑」も見ることができた。
で、元々『怖い絵』のファンだった僕はこの展示会を見て、これを物語にして「舞台」にできないかと思ったのです。
物語のベースになっているのは、「怖い絵展」でも話題になっていた「切り裂きジャックの寝室」という絵。これはシッカートという画家が描いたもの。イギリスを震撼させた未解決事件・切り裂きジャック事件。シッカートは「切り裂きジャック」のことをすごく調べていて、ある人から「切り裂きジャックが住んでいた部屋がある」と聞き、そこを借りて住んで、それを書いたと言われる絵。
切り裂きジャックが住んでいたと聞くだけで怖いのだが、一番怖いのは、そこじゃない。こんな説もある。この絵を書いたシッカートが亡くなったあとに、その養子がテレビ番組で、シッカートこそが切り裂きジャックだったと告白する。そして2000年代に入り、テレビ局に切り裂きジャックから送られてきた手紙と、シッカートのDNAを検証した結果、「一致した」そうなのだ。