女性の95%が「月経前に何かしらの症状を経験している」という調査結果がある。毎月の症状が重い場合は、仕事や人間関係などに大きなダメージが出ることも。月経前の不調が女性の社会生活に与える影響は、とても深刻だ。
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月経で生じる不調は、月経中の腹痛などだけではなく、月経の前にも起きることがある。以下によくある不調を記したが、思い当たるものはないだろうか。
近畿大学東洋医学研究所の報告によると、20~49歳の女性1152人の95%が、月経前に何らかの症状を経験しているという。
これらの症状のことを「月経前症候群(PMS)」という。症状は個人差があり、月経の数日前から起こり、月経が始まるとおさまるのが特徴だ。日本医療政策機構の「働く女性の健康増進調査(2018年)」では、働いている女性の66%が「現在または過去にPMSの症状があった」と回答している。
多くの女性を悩ませるPMSはなぜ起きるのか。女性のからだには図のような月経周期がある。この周期にともなってホルモンの状態が変化しており、ホルモンの変動により毎月、排卵や月経が起こる。このうち排卵してから次の月経が始まるまでの「黄体期」とよばれる時期に、PMSの症状があらわれる。
東京歯科大学市川総合病院産婦人科准教授の小川真里子医師はPMSの原因について、「いくつか仮説はありますが、実はまだわかっていません」と話す。はっきりしているのは、黄体期に分泌量が増える「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が引き金となり、これが脳内のさまざまな物質に何らかの影響をおよぼすことで症状が起こると考えられている。