「そのどれも当てはまると思います。さらに、どのぐらいの症状があれば受診していいのか、受診の目安がわからない人も多いのではないでしょうか」(同)
PMSを治療しないでいることが、生活に与える影響は大きい。
「PMSは、何かほかの病気が隠れていて、受診の遅れで悪化するといった心配はあまりないといえます。しかし、重い症状を放置すると、社会的なハンディキャップは広がっていく可能性があります」(城田医師)
例えば、大事な仕事を欠席したり、友人との約束をキャンセルしたりということが、年に何回も起きるとしたら……。
「その人の責任ではない理由で小さなマイナスポイントが積み重なっていくのが、PMSの厄介なところです。人生全体でみると大きく影響していたり、ご自身が引け目を感じて自信を失ったりすることも少なくないでしょう」(同)
働く女性の約6割が「PMSの症状により退職や昇進の辞退を考えた」という製薬会社の調査結果もある。そうならないためにも、両医師は早めの受診をすすめる。
「毎月生理の前にパフォーマンスが低下するとしたら、それはもったいないこと。症状により生活に何らかの支障があると感じたら、早めに婦人科を受診していただきたいです」(小川医師)
「年に1回婦人科に行く習慣をつけ、かかりつけ医をもてると安心ですね。歯科に検診や歯石取りに行くようなイメージで、気軽に受診してもらえたらうれしいです」(城田医師)
(文・出村真理子)
※週刊朝日 2022年3月18日号