兼近:こんな髪の毛の息子とか孫、いますかね(笑)。
林:髪の色はともかく、「うちの息子とか孫にも、こういうところあるな」と思いながら見てるんじゃないですかね。
兼近:確かに10代や20代には嫌悪感があるかもしれないですね。「こういう人、苦手なんだよ」っていう。逆に年上の層だとかわいがってくださるというか。
林:インタビュー記事を読むと、子どものころ、つらいこともあったみたいだけど、野球をやってたし、背が高くてカッコいいから、女の子にはチヤホヤされて、それが救いになったんじゃないですか。
兼近:女の子にチヤホヤなんて、まったくないですよ。小学校のときなんて嫌われ者でしたよ。
林:中学校になったら女の子に騒がれ始めた?
兼近:いや、中学になってもぜんぜん。学校でキャーキャー言われたこともなく、むしろ避けられてたと思いますよ。ほかのやつらがふつうに女子としゃべってるところを見てうらやましくて、それに嫉妬して意地悪しちゃったりしてましたね。
林:兼近さんも、「石山」と同じように妹さんの学費を稼ぐために定時制高校に行って働いてたそうですね。
兼近:はい、そうなんです。
林:兼近さんは北海道出身ですけど、北海道出身の芸人さんは珍しいんじゃないですか。
兼近:やっぱり関西というか、西のほうがお笑いに触れてる感じがありますよね。新喜劇とかも、芸人になってから初めて見ました。それまでぜんぜんお笑いに触れてこなかったんで。
林:それなら、なんでお笑い芸人になろうと思ったんですか。
兼近:僕、まともに読んだ最初の本が又吉さんの『第2図書係補佐』で。芸人でありつつ小説を書いてる方に憧れたんですよ。
林:えっ、兼近さんって、小説を書くことに憧れて、その手段として芸人になったんですか?
兼近:そうですね。手段がわかんなくて、何をしたら書けるようになるんだろうって思って、とりあえずおもしろい人になればおもしろい小説が書けるのかな、みたいなイメージでしたね。