個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、「睡魔」について。
* * *
新幹線の中である。
「歴史探偵」(毎週水曜日にNHK総合で放送中)の収録のため、いま大阪に向かっている。
で、眠い。
今、俺は猛烈に眠い。
なぜそんなに眠いかというと、朝8時に起きれば新幹線に間に合うのに今朝は朝4時半に起きてしまったからだ。
なぜ無意味にそんなに早く起きてしまったかというと、昨夜、自宅晩酌で酔っ払い、夜8時半に寝てしまったからだ。
なぜ昨夜、自宅晩酌で酔っ払ってしまったかというと、馴染みの魚屋で買った、ほうぼうの刺身や、切り身で妻が作ってくれた鯛の塩焼き(レモン添え)があまりに旨くて、大いに酒が進んでしまったからだ。
イライラしてきたであろう。読者諸兄はイライラしてきたであろう。一体なにを読まされているのだ。一体なにを読まされているのだという気分にさせられるのは佐藤二朗のコラムではいつものことだし、むしろそれが佐藤二朗のコラムの特徴と言ってもいいくらいなのだが、それにしても今回のはとりとめがなさすぎるではないか。
そう思った読者諸兄。感謝する。よくぞここまで脱落せずに読んでくれた。感謝のついでに約束をしてほしい。
怒らないで。
お願いだから怒らないで。
今から僕が書くことに怒らないで。
実はだ。今日のコラムは、ある実験を兼ねているのだ。
その実験とは、
……
……
……
ごめん寝てた。
だってマジ眠いんだってぱ今。新幹線の中でほぼ寝そうなんだってば。
そう。その実験とは
「人は睡魔に襲われてる時、どんな文を書くのか」。
……
だから怒らないでってあれほど約束したじゃないかっっっ。
当コラム、今まで俺は、色んな状態で書いてきた。
二日酔いの真っ只中で書き、なんか途中から支離滅裂になっていき、最後の方はほとんどヤケクソのような文になった回もあった。