腎代替療法には2種類の透析に加え、「腎移植」という方法もある。腎移植はドナーから提供された腎臓を移植する方法で、亡くなった人から提供を受ける「献腎移植」と生きている人から片方の腎臓の提供を受ける「生体腎移植」がある。

 日々の生活を快適に維持するために、どの治療法が自分に向いているのか、この分野に詳しい医師や看護師などとよく話し合った上で決めていくことが大切とされている。

週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』より
週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』より

■選択のポイントは年齢 どの療法でも効果あり

 土谷総合病院の川西秀樹医師は言う。

「選択の大きなポイントになるのは年齢です。患者さんが若く、周囲に腎臓提供をしてくれるドナーがいる場合は、早めに生体腎移植の話をします。医療の進歩で血液型が違う、あるいは血縁でなくても可能になっており、近年は夫婦間での移植が増えています。一方、腎代替療法の導入者は現在、ほとんどが70歳前後の高齢者です。からだや手が動くかどうかや、認知機能、家族構成などを検討して、治療法を考えていくことになります」

 聖マリアンナ医科大学病院の櫻田勉医師はこう話す。

「終末期などで治療を拒否する患者さんに対しては、本人の意思をよく確認した上で、透析をおこなわず、緩和治療をすることも選択肢となります。保存的腎臓療法(CKM)と言われており、諸外国では一つの治療の選択肢として提示されています」

 医師はこうした複数の選択肢を示し、各治療のメリット、デメリットを説明する。患者の好みや価値観、生活背景などを聞き、双方でよく話し合うことがガイドラインで推奨されている。この考え方を「SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング、共同意思決定)」と言う。

「2020年からはSDMにしたがって腎代替療法を説明している病院に診療報酬がつくことになりました。こうした病院で療法選択をすることをおすすめします」(川西医師)

■自分のペースでできる腹膜透析という方法

 腎代替療法の中でも、近年注目されているのが腹膜透析だ。胃や腸などを覆っている腹膜を透析膜として使用する治療で、主に日中、自分で透析液のバッグを交換するCAPDと睡眠中に機械が自動で透析液を交換するAPDがある。

 導入する患者は透析液の交換に使う腹部のカテーテル手術を受ける。自分で管理する治療なので、入院や外来通院中に操作を覚えるのが一般的だ。

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2人の医師が語る腹膜透析のメリット