そんなさなかの2月3日、JR西は大糸線の廃止を視野に入れた協議を沿線自治体と始めると発表した。16日にはJR西の長谷川一明社長が記者会見で、
「輸送密度が2千人未満の線区は、一事業者の経営努力だけで維持していくことは非常に困難」
と、「2千人未満」の区間で優先的にサービスを見直す考えを明らかにした。
鉄道ジャーナリストの松本典久さんによれば、輸送密度2千人未満の区間は、87年の国鉄改革時に最初の廃止対象となった。
「ただしそのときは、代替輸送道路が整備されていない路線や代替輸送道路が積雪のため10日以上不通になる路線は除外されました。しかし、40年近く前と比較し道路事情は格段に良くなり、今ではこれらに該当する路線は少なく、輸送密度が2千人未満であれば即廃線となってもおかしくないと思います」
2千人未満の線区は、いったいどれくらいあるのか。JR旅客6社がホームページなどで公表しているデータなどで調べると、不通区間やバス高速輸送システム(BRT)も含め、6社で全441区間。そのうち2千人未満は165区間と37%に達する。そこからワースト50を一覧にした。
松本さんは、「バス代行運転が長期的あるいは頻繁に行われている区間」は廃線の危険性が高いと指摘する。
■公益性の高いインフラ
「筆頭が、JR九州の日田彦山線(ひたひこさんせん)の田川後藤寺(福岡県田川市)~夜明(大分県日田市)駅間です。17年の九州北部豪雨で一部不通となった後、添田(福岡県添田町)~夜明駅でバス代行が続いていましたが、鉄道復旧を断念してBRTへの転換が決まりました。このままいけば、田川後藤寺~夜明駅間で廃線となる可能性が高いでしょう」
JR北海道・根室線の富良野(北海道富良野市)~新得(同新得町)駅間も、廃線の危機が迫っているという。16年の台風災害で同区間の一部が不通となりバス代行運転が続いていたが、今年1月、沿線自治体は区間のバス転換を容認した。