きっかけとなったTAKESHIのYouTube画像(https://www.youtube.com/watch?v=ubbBJfQ5JOo)
きっかけとなったTAKESHIのYouTube画像(https://www.youtube.com/watch?v=ubbBJfQ5JOo)

 TAKESHIが最後に踏ん切りをつけた理由は、レジェンドへの敬意だった。

「俺は8年間持っていたものを失うだけで、これだけ悲しい気持ちになっている。でも、ランディさんは45年間も悲しい思いで生きてきたのだと思うと、この悲しい役は誰かが代わってあげるしかないと思ったんです。それがロックを作ってきた人に対してのリスペクトだと思いました」

 自分にしか、あのランディ・バックマンの悲しみを代われる人間はいない。音楽の先人への尊敬の念が、TAKESHIの背中を押した。また、TAKESHIは返還セレモニーまでにもう一つ、そのギターとお別れする前向きな理由を見つけることができたという。

「最後の最後にね、あのギターには『環境』を与えてもらったんですよ。返還が決まってからいろんな人に会わせてくれて、いろんな場所に連れて行ってくれました。この先の人生で重要になるかもしれない出会いをたくさんくれた。そして、世界中で自分の名前を有名にもしてくれたんです。ランディさんはあのギターがないと曲が作れないというけど、俺はギタリストというよりも作曲家だから、どんなギターであろうと曲は作れます。そう考えると、あのギターは、『お前に必要なのは俺じゃなくて環境だろ』って、最後に本当に必要なものを残してくれたんじゃないかな」

 不意に訪れた、大切なギターとの別れ。でも別れ以上に、そのギターがもたらしてくれた出会いもあった。それは突然盗まれたランディの失い方とは、全く異なるお別れの仕方だったという。

 TAKESHIは9月18日に、ランディにもらった新しいグレッチギターをお披露目するワンマンライブを吉祥寺SHUFFLEで開催する。

「あのギターは、俺が育ててもらうギターでした。今回いただいたギターは同じ年代のものだけど、あまり弾き込まれていないから、俺が育てるギターになります。これから味が出てくると思いますよ。音も、今から俺仕様に調節していきますから」

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2人の「持ち主」が同じステージで共演