シニアだけでなく、ストレスを抱える人のケアにも有効だ。

 がん患者やICUの入院患者の場合、不安や不眠が改善して鎮静剤の量が減った、呼吸や脈拍が安定した、という報告がある。近年は、企業による社員のメンタルヘルス対策や、不登校の子のサポートに使われるケースも出てきたという。

 鈴木教授は「手を触られているときは、お互い向き合ってアイコンタクトがとれる体勢になる。足や背中を触られるよりも『あなたが大切』というメッセージをダイレクトに受け取れる」と話す。

 冒頭の山本さんが施術時につけるピンクのエプロンには、「Heart Care」とプリントされている。他者との接触が激減した今、身近な人の手と心をほぐすひとときを設けてみては?(本誌・大谷百合絵)

(週刊朝日2022年3月25日号より)
(週刊朝日2022年3月25日号より)

週刊朝日  2022年3月25日号

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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