日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「ワクチン追加接種」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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オミクロン株の感染流行を受けて実施されていた「まん延防止等重点措置」が、およそ2カ月半ぶりに解除となりました。勤務のために満員電車には乗るけれど、それ以外の外出はほとんどなくなり、外食も滅多にしなくなったという習慣にもすっかり慣れてしまいました。
3月13日、日本における3回目の追加接種率は30.2%となり、アメリカ(29.0%)の接種率を超えてG7の中で最下位から脱出したと報道されました。現在、多くの自治体で積極的な追加接種の呼びかけが行われていますが、第6波がピークアウトした今になって接種を急ぐ必要があるのか、私はとても疑問に感じます。
とはいえ、私自身は2月初めに追加接種を済ませています。外来現場で、オミクロン株の感染力の強さを目の当たりにしたからです。感染者数がみるみるうちに増加していき、1月下旬には、発熱や喉の痛みなど、風邪症状を訴える人が外来であふれかえるほどでした。追加接種の連絡がなかなか来ず、感染者のあまりの多さに「自分もいつかオミクロンに感染してしまうだろう……」と覚悟するほど、精神的に追い詰められていました。
追加接種の接種券が多くの方に届いている今、「3回目のワクチンをいつ打つか、迷っています」と相談されることが増えてきました。そこで今回は、接種時期を迷っている方には、どのようなことをお伝えしているのかをお話したいと思います。
2022年3月15日時点の3回目の追加接種の接種率は、イタリアが63.5%、ドイツが57.5%、イギリスが56.5%、フランスが53.4%と欧州で高い水準です。欧米の国々で3回目の追加接種が急ピッチで進められ、これほど高い接種率を記録しているのは、昨年末にオミクロン株の感染が急拡大したからです。