ミシュランガイドはおろか、最近では食べログのような評価サイトが幅を利かせているようですが、本当に「不味い」と感じたからといって、実際に評価を下したりコメントを書き込んだりする神経は、理解に苦しむところです。「客なんだから」「お金を払っているんだから」という理屈をもってしても、「出されたものは黙ってありがたく頂く」のがオトナだと思うのですが。

 先日、宮迫博之さんが都内に焼き肉店をオープンされましたが、ここでもまた大のオトナの男たちが寄って集って、「美味い」だ「不味い」だ「質がどう」だ「コスパがこう」だと、イッチョ前な顔して御託を並べています。

 考えてみたら、男社会というのは他人や組織から評価され続けなければならない世界です。学歴、見た目、収入、腕力、あらゆる要素で他人と比較され、値踏みをされるだけの男たちにとって、「味」だけは自分の実力に関係なく、「俺が正しい!」と言える唯一の砦なのかもしれません。なんだかせつない話です。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2022年3月25日号

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